TPMの具体的取り組み
事例1 生産納期改善に事例(業務TPM)
■北九州金属加工企業のT社の事例
T社業務TPM取り組みの様子
T社では、社内研修や改善活動は盛んに行われていたが、部分的な工程改善は出来ていたものの、外注生産を含む全体的な改善が出来ていなかった。そこで「業務TPM」に取り組んだ。改善目標は納期半減とし高い目標であったが、社員の意識が高まり、徐々に主体的な活動になった。
T社業務TPM
1年間の取り組みで業務TPMチャートが完成し,後戻り作業や作業の停滞期間が一目瞭然になった。この問題の工程について工程分析、真因の追求(なぜなぜ分析)、対策を検討した結果,納期が70日から26日に短縮された。
事例2 生産工数改善の事例(業務TPM)
■佐賀県伊万里市「株式会社キョーワ」の事例
「株式会社キョーワ」の会社概要
「株式会社キョーワ」は、「活魚車」の製造企業で国内占有率70%を占める優良企業である。現在業務TPMに取り組んでいるが、大幅な納期短縮のめどが立ったので、同社古賀道浩社長のご厚意でその内容の一部を紹介する。
当社で製造した国内最大の活魚車と筆者
当社では、顧客先より納車されたトラック車体に、水槽を乗せ込む作業を行っている。水槽の素材であるFRP(ガラス繊維強化プラスチック)の加工から水槽を作り組み立てトラックに乗せ込み活魚車を仕上げている。
業務TPM導入の経緯
現在,活魚車生産国内トップシャアを占めており注文が年々増え、生産が追いついていない状況であった。創業以来,改善活動が盛んで、これまで鋭意工数の削減改善をおこなってきたが、主要工程の改善が難航していた。この工程は作業の内容が多岐に渡り、熟練を伴う作業も多く、納期に大きな影響を与えていた。そこで生産性をあげるために「業務TPM」による工数削減に取り組んだ。
業務TPMの取り組み
- 意識改革体感体感セミナー:業務TPM取り組み前に「意識改革体感体感セミナー」を実施社員の自主性を引き出だす
- 実現分析,工程分析,各工程の関連付け:現場・現物・現実を直視し詳細に分析し各工程の関連を明確にする
- 各工程の工数の見直し(数値化):各工程現場の工数を具体的に把握し見直す
作業を行うにあたって、過去のデータの分析、現場の視察にとどまらずビデオ撮影やヒアリングを行うが、「現場・現物・現実」を徹底した。そうすることで、本当の工程の姿が見え問題が顕在化してくる。現在出来上がった「業務TPM」チャート図である。
古賀道浩社長のコメント
キョーワの古賀道浩社長「主要工程の複雑さを考えると、『業務TPM』で“見える化”しなかったら『ボトルネック』が分からなかったと思う」と感想を述べられています。
まとめ
このチャートが、出来上がった瞬間、並列作業、直列作業が複雑に交差してこれまで見えなかった問題点が、顕在化して「ボトルネック」が明確に見えてきた。明確な問題点が分かれば、半分は解決したのも同然で、これから真因を追求し改善策を検討していけば、納期削減は30%以上十分見込める。
事例3 商品開発研究の事例(商品TPM)
■北九州市立大学の事例
商品TPMの検討の様子
北九州市立大学において、産学官連携プロジェクトの最終年度に商品開発の商品TPMの体系化を図り、次期研究の指針とする取り組みを行った。
「商品TPM」チャート
「商品TPM」チャートを作成することで、右側の部品や材料が、最終的な特性にどのように影響しているか、開発のロジックが一目瞭然である。
上江洲一也教授のコメント
北九州市立大学の上江洲一也教授は「このチャートを活用することで、開発課題を解決するためのメンバーの考えを整理でき、全体最適化に向けた議論がやりやすくなるので、開発のスピードが格段に向上すると確信しています」と述べられています。
事例4 損益改善
■北九州市Y社の事例
Y社は創業110年の老舗の企業ながら、社長自ら商品開発に携わり、大学と連携し医療用としても使える新素材を開発している。社員教育も熱心でありM・TPMによる経費削減に取り組んだ。社員の意識が変わり、作業効率が3倍アップし、経費が30%削減できた。赤字体質であったが工場が黒字体質に転換できた。
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